ハッとしたように立ち止まり、瑞季くんは何も掴んでいない自分の手のひらをしばらく見つめた。 慌てて傘を拾い上げるけれど、身長差があるせいで真っ直ぐに差すことができない。 「……悪い」 傘の取っ手を掴もうとするも、彼のその手は力なく空を切る。 見上げると、虚ろな瞳。 焦点が合ってない……。 「瑞季くん?」 「……」 信号が再び青に変わった。 瑞季くんは何も言わずに一人で歩き出す。