「あの、瑞季くん顔色悪くない……?」
「逆に聞くけど、お前は何でそんなに血色いいの」
「っえ、と」
「バカは風邪引かなさそうでいいな」
そう言うと、あたふたしている私を置いて歩き出す。
軽く鼻をすする音が、2回聞こえた。
「瑞季くんもしかして風邪引いてる?」
「……」
「熱とか、あるんじゃ」
「そんなことよりもっと寄らないと濡れてるけど」
そっと私の方に傘を傾けてくれたのが分かった。
さりげない優しさにいちいち鼓動が早まる。
だけど、私に傾けたら今度は瑞季くんが濡れてしまう。
激しさはなくなったものの、風があるせいで二人とも濡れないようにするのはなかなか難しい。



