昇降口に続く階段を降りる頃には、時計は5時半過ぎを指していた。


雨だから部活動をしているところも少なくて、校舎内はいつも以上に静か。空間に自分の足音がいやに響く。


ひと気、まったくなし。


なんだかちょっと怖いし、寂しい。

友香ちゃんがいてくれたらなぁって思うと、自然とため息がでた。



廊下を曲がりきって靴箱が視界に入ってきた瞬間、私は思わず立ち止まった。


玄関の壁に寄りかかるようにして立っている影。

薄暗くてよく見えないけど、わかる。



あの立ち姿……。

1歩前に踏み出してその姿を再確認すると、ドッと一気に体が熱くなった。



「瑞季くん……?」