「そうだったんだ……全然気づかなかった」


「うん。だって学校でも全然話さないよね? ふたり」


「それに、矢代くんはあさひちゃんのこと名字で呼んでるしね。でも何かあるなあとは思ってたよ、あたし」



最後の美結ちゃんの言葉にドキリとする。



ハンカチ渡しに瑞季くんを追いかけたのがやっぱりいけなかったのかもしれない。

ヘンな期待なんか持たずに、友香ちゃんにお願いして渡してもらえばよかった。



「矢代くん、あさひちゃんと接してるとき笑わないよね」



美結ちゃんの鋭い突っ込みにまた胸が痛む。



「他の人の前ではいっつも笑顔なのに、矢代くん」


ああ……もう。時間、止まってほしい。


美結ちゃんの言葉は今、私にも、たぶん瑞季くんにも大きいダメージを与えてる。



「それに、あさひちゃんも──」

「その話、もうそれくらいにしてほしいんだけど?」