「お姉ちゃん……私、素直なんかじゃないよ」
関係ない、って。知ったことか、って。本当は、大声で言いたいのに。
「自信が、なくて……それを、知られたくなくて……」
きっと傷つけた。怒らせた。呆れられた。
だけど、私、どうすればよかった? 注目されて、慣れない状況の中で私、何を中心に考えればよかった?
「行きたくない……学校、好きだけど……いつも通りの自分が、わかんない」
普段の私となりたい自分がぐちゃぐちゃで。
もし、金曜日のことが広まっていたら。柊くんとぎくしゃくしたら。私は、どう振る舞えばいい?
「もっとわかんなくしちゃえばいいじゃん」
さっきまでの態度が嘘かのように、けろりとした声がそれを助長する。
何を言いたいのか理解できず、それでも理解しようとふうちゃんへ顔を向けた。
「よくわかんないけど、つまりどういう顔して行けばいいのかってことでしょ? だったらいっそのこと、今日はこういう顔で来てみたけど、どうよ!って感じで行けばいいじゃん。反応も見れるし、自分の新たな一面も見えちゃうかもだし? これぞ一石二鳥!」
新たな一面、って……。自分磨きが趣味みたいなふうちゃんからしたら、そんなの日常で慣れてるだろうけど。