柊くんは私のことが好きらしい


「メグがいい奴だから何? ひとつの判断材料じゃん。デートしたから何? それだけで付き合うわけないじゃんアンタらはそうだったのかもしれないけどさ。付き合う気あんのって何よ? アンタらに指摘されるでもなく、ひまりは考えてるっつーの。マジ余計なお世話。下世話。噂を耳にしたくらいで関係者面すんのやめてほしいわ。友達ならまだしも知らない奴の野次馬根性クソうざい」

「ク、クソって……!」

「言いすぎだろ! 俺らはただ、」

「え、咲! いいから、行こう、ねっ」

「いやだ。ぶっつぶす」

「言葉で!? やめて咲のマシンガントークは聞いてるこっちが息できないから!」


無理やり咲の背中を押して歩かせると、


「なんっだよ……」


数歩離れてから、不服そうな、濁った声が耳に届いて、立ち止まった。


ふっくん同様、彼らは悪気があったわけじゃないんだろう。気になって、聞いてきただけ。有名人で、人気者で、友達の多い“メグ”の告白の行方を。


私は振り返り、彼らと顔を見合わせたあと、頭を下げた。


咲がごめんなさい。私も……ごめんなさい。


それはまず、柊くんに言わなくちゃいけないから、彼らに言葉で伝えることはしなかった。