柊くんは私のことが好きらしい


「えー? 何? 借りたの? てか、提出する気?」


私に視線が向けられることはなく、ぱらぱらとノートがめくられる。それが妙に神経を張り詰めさせた。こんな子に借りたのか……って、暗に言われているようで。


「――っ!」


まずい……! 忘れてた!


「あの、」プリントではない、白い長方形のものがノートの最終頁に挟まっていたことに慌てて声をかけるも、横居さんが手に取るほうが早かった。


「えっ!! 何これ、嘘でしょ!?」


ぎゃーっと一斉に横居さんたちが声をあげ、カラオケの参加はどうなったかと聞きに来た他の男子まで騒ぎ始める。


ふっくんが「プリクラじゃん!」と驚いたときに取り返せたらよかったけど、周囲のざわめきに圧倒されて、体が動かなかった。


「何、いつのまにデートしたん!」

「やばいんだけど! メグとツーショットとか……っ」

「信じらんないっ。マジでふたりで遊んだの!? 超ウケるんですけどっ」

「ウケることじゃないだろ……いいから、返せって」

「やーだ。だってさあ、」


くすり、くすくす。忍び笑いに変わった横居さんの手にあるのは、土曜日に撮った私と柊くんのプリクラ。


普通に撮ったつもりだ。ちょっと緊張して、それでも笑みを浮かべて、ふざけて撮ったりもした。だけど柊くんと一緒に写るのは、私、だから……。