柊くんは私のことが好きらしい


それに今となっては、バレてよかったんじゃないかと思う。


注目されるのは変わらず苦手。でも知られてるおかげで私も、たぶん柊くんも動きやすいというか……変に隠そうとしてぎくしゃくせずにいられるのかな、って。


だけど……私はともかく、柊くんまでデートのことを隠していたのは意外だった。今も、あんまり、機嫌がよさそうには見えない。


ていうか、私のせい、だったり。どうしよう……土曜のこと隠したかったなら、謝ったほうがいいよね。


「いた! メグーッ」


ぎくりと強張らせた体の隣に、声の主がやってくる。


クラスメイトで、よく柊くんたちと一緒にいる、美人と噂される横居さんグループの面々だ。


「ねーねー。今日みんなでカラオケ行こうよーっ」

「てか強制参加ね」

「いや俺ら今日、部活あるんですけど」

「えーっ! じゃあ終わってから! それなら来れるでしょ? うちら待ってるし!」


ねー、と互いの意思を確認し合う横居さんたちに、もちろん私は入ってない。


一瞬で蚊帳の外に弾き出されたようなこの感覚って、どうして生まれてくるんだろう。


戻っていいかな……いいよね。会話の邪魔だろうし……。


「てか何持ってんの? ノート?」


教室へ戻ろうとした直前、横居さんが柊くんからノートを取り上げた。


「おい……っ、」


取り返そうと柊くんが手を伸ばすも、横居さんの目は家庭基礎と書かれた表紙に、私の名前も見つけただろう。だけど、