柊くんは私のことが好きらしい


「フラれたんだよ」

「えっ!? 好きな子いたっけ!?」

女の子紹介してって、この前言ってたのに。


肩をだらりと下げるふっくんは遠くを見つめ、引きつった微笑みを浮かべた。


「バッカお前……恋に落ちたら俺は狩人なんだよ……」


そして恋に破れて悪霊になっちゃうパターンだコレ。惚れてすぐ告白して玉砕したんだ。前にもあった。


「変わんないねえ……。誰をいつ好きになったの?」

「バスケ部マネ……2時間前」


2時間前!? 部活中!? えっ、告白するの早くない!?


「それは、えっと、がっつきすぎだと思う」

「慰めろよぉおおおお!! 傷心中の俺を少しくらい誰か労れよぉおおおおお!!」


うわあ涙目だ。傷口に塩を塗るようなことを散々言われたんだろうな。小鷹くん目から冷凍ビーム出しそう。


「でも俺、諦めねーから……!」

「は? 諦めろよ」

「なんでだよそこ応援しろよ」

「このやり取り含めて時間の無駄だろうが」

「なんだとこの時短マニア野郎! 優しさ持って生まれ変わってこい!」

「フラれた分だけ惚れっぽいやつを慰める時間は30秒が限界だイライラする」

「小鷹こそマイ! ワースト! フレンドッ!」


なんだかなあ。どっちもどっちだなあ。


ふっくんを無視することにした小鷹くんが腕時計を確認したので、私も校舎のほうを見遣る。


うわー! きた! きてしまった!