ささっと前髪を整える。すると柊くんが、
「乗る? 歩く?」
なんて、すぐには決められない選択肢を並べた。
乗るってうしろにってことだよね? ていうかこれ一緒に登校しようってことだよね!? 何このサプライズ……!
「え、と、どうしよう。迷う……」
「じゃあ俺がうしろに乗るっ!」
ふっくんが乗ったら突き飛ばす。
「お前には得意のほふく前進があるだろ」
「得意じゃねーから遅刻するわ!」
「ならチャリ貸してやる。乗ってけ」
「おい待て。さりげなく邪魔者扱いしてねーか」
「散々自分はキューピッドだって言いふらしてんだからつらぬけよ」
「足元見やがってこのやろう! サボったりしたら先生に告げ口してやるからなあああ!」
あれよこれよと言う間に、ふっくんは柊くんの自転車に乗って走り去っていく。
「捨て台詞から滲み出る、福嗣がモテない理由」
思わず吹き出しちゃったけど、ふっくんの捨て台詞は確かにかっこわるかった。
「おもしろいやつなんだけどなー。何かが惜しいよな」
それ中学の時も言われてたな。
ものすごい速さでペダルを漕いでいくふっくんを見送ったあと、視界に入ってきた柊くんにどきりとする。
「ごめん、勝手に徒歩にして」
「……本当に悪いと思ってる?」
疑いの眼差しを向ければ、柊くんは顔をほころばせた。


