「柊くんと、っていうか。送ってもらってるとこ家族に見られてて、」

「え、いつ? いつのまに一緒に帰っちゃってんの?」

「いつ、って。そりゃ……」


もごもごと歯切れ悪く答えれば、ふっくんは察してしまったようだ。とたんに顔から表情を消され、ある意味とても正直だなあと思う。


この、他人の目を顧みない昔馴染みのおかげで私はなかなかの窮地に立たされたわけだけど、悪気があったわけじゃないから、憎めない。


「あ~ハイハイ。告白された日ですよね~。俺の協力がなきゃ告白も敵わなかったあの日に、女子を送るなんて紳士なことまでしちゃってたんデスカ。ふ~ん。へ~。そうデスカ」

「うん。で、告白されたこと家族にバレた」


触らぬ神に祟りなし。言葉の続きを言い切れば、「マジ!?」とふっくんは驚く。なんとなく、目は輝いた気がした。


「何それ、何それ。キッツいな~。1回連れてこいとかうるさくね?」

「……まあ、お母さんよりふぅちゃんのが騒いでるけど」

「うわー。バンビ先輩かーっ! あんなめんこい彼女できたら親にも見せたくねー。減るわ。かわいさが。いやでもかわいい彼女は自慢してぇよなー」

「……」

「つーか、じゃあメグのこと家に呼ぶのか? あのバンビ先輩が待機してんのに? やめてやれよー親に会うってだけでも緊張するってー」


さっきからまるで経験済みかのように言ってるけど、ふっくん彼女いたことないよね。