柊くんは私のことが好きらしい


「ひ~まちゃんっ」


朝食後、洗面所で歯磨きを終えた私は、背後に現れた小動物を鏡越しに見つめる。


「何? ご機嫌だね」

「ふっふ~。おねえちゃん、ひまちゃんに聞きたいことあるんだけ、どっ」


歩み寄ってきた姉のふぅちゃんは、最後の1歩をぴょんと跳ねるようにして私の隣にやってきた。


ひとつ上の姉は150センチちょっとの身長で、それはもうチワワみたいにくりっとした大きな瞳で、162センチの私に上目を使う。


「聞いても、い?」


ふぅちゃんは軽く握った拳を口元に添え、首を傾げた。この仕草は、たしか中学に入る前に計算によって身につけ、今では自然と発動するようになったものだ。


恐ろしい。我が姉ながら恐ろしい。だけど見た目は極上にかわいい。


私が自分を地味だとか平凡だとか言えないのは、この姉が一因だったりする。


育った環境が派手すぎた。高遠家の女は私を覗いて全員見目麗しい。あとちょっと個性的で自我が強い。


ふうちゃんに関して言えば、自分の容姿を99.99%自覚して有効活用することに全精力を注いでいる、残念な美少女ってところ。