感じる視線も、投げ掛けられる言葉も、全てが祝福を含んでいるわけではないけれど。そのどれもが、景色を今までとは違うものに見せるようで。
私、今ちょっと、主役っぽくない?
……だけど、私の中での主役はやっぱり、柊くんだな。
「言っちゃった」
いたずらっ子みたいに笑う彼を中心に、私の世界が回るように。振り回されて、振り回してみたい。
「言っちゃいましたね」
「怒った?」
「怒らないし、困ってもないよ」
どうなってもいい。柊くんと一緒にいられるなら。
そんな風に伝えたら、どんな反応をされるんだろう。
私が柊くんを好きで、大好きだってことを伝えたら、どうなるんだろう。
経験がないからわからない。
わからないから気になる。
知りたくて、行動して、失敗して、恥ずかしい思いもうんとして。消えてしまいたいって思うこともあるかもしれない。それ以上に勇気を出さなきゃって思えたらいい。
だってやっぱり柊くんが、好きだから。
「私たち両想い?」
「両想いでしょ」
「どれくらい?」
「え、俺まさか愛してるとか言わされちゃう感じ?」
「ふはっ、あはは!」
言われなくたって大丈夫。
相変わらず外見に自信はないし、無遠慮に駆け寄る勇気も足りないけど。磨けば光るってことも、振り絞れば出るものだってことも、恋をして知ったから。
出会えて、好きになって、付き合えたことが、すごくすごく幸せなんだってことを忘れる暇もないくらい、素直でかわいい彼女になろう。
だからね、柊くん。
「私のこと、見ててね」
【END】


