「なに何？ 高遠ちゃんも混ざりに来たの？」
「や……フリースローはちょっと、」
「特に用はないんだってさーっ」
なぜ言う!!
「え？ 何それどういうこと？」
「ていうかメグ、急にごきげん」
けたけたと私の失態を笑う柊くんは誰から見ても楽しそうで、だけど何がそんなに楽しいのかとクラスメイトが首を傾げるのも無理はないと思う。
「よくわからんけど、高遠ちゃんはフリースローしに来たわけじゃないのね」
「そうなんだよ悪いね」
なぜ柊くんが答えるのか。にこにこしちゃってさ。こういうときの柊くんって、たぶん周りが見えてない。
私だって驚かせたり喜ばせてみたいって気持ちは、これで報われているんだろう。
でも。でもさ。
「見に来ただけだもんな？」
にこにこフォローまでしてくれちゃう柊くんは、私から歩み寄ってきただけで御の字だって思ってるんでしょうけど。私は、その先を行ってみたかったり。
「見に来たっていうか……柊くんを、喜ばせに」
「……、え？」
もごもご話したから聞こえなかったかもしれない。
だけど、ちらりと見遣った柊くんの表情がみるみる恥ずかしさに染められていくから、袖口の下で頬をゆるめてしまった。
反撃成功。してやったりな気分だ。
