「言ったところで小鷹には理解できないパターン」

……うん、まあ、そんな気もするんだけども。


ふっくんに対して不服そうにしながらも、小鷹くんは私に決定権を委ねてくれるみたいだった。


「も、問題があるとかじゃ、ないんだけど……」


涼し気な視線は柊くんとはまた違って、胸の奥が突っ張るような緊張を覚える。


「私がダメダメすぎる、というか……あの、話したいんだけど、うまく話せないっていうか……」


あああ……要点絞って話せって目をしてるなあああ!


「恥ずかしくって話し掛けられないどうしようって話です!」


言い切ったところで小鷹くんは眉間のしわを深めるだけで、それは理解できていない証拠でもあった。


「……今さら恥ずかしがる理由があるか?」

「いえ、あの……話しかけて盛り上がらなかったら怖いなっていう気持ちも、あったり……」

「無理して盛り上げる必要あるか?」

「や……できれば楽しいほうがいい、というか。盛り上がらなくても、こう、普通に、和気あいあいと……」

「話せばいいじゃないか」

「それができるか不安だって話をしてんだよぉおおお!!! もう我慢ならん! 断言する! お前にひまりの気持ちはわからない!」

「お前にはわかるのか」

「わかるわ! 好きな子に話しかけるときの俺の心拍数ナメんな!」

「話す前からそんなに悩んで疲れないか?」

「疲れるよ! それもまた醍醐味だがな!」