「あの中に、混ざり、たい」


ぽつぽつと本音をこぼすと、隣のふっくんが「混ざれば?」と軽く返してくる。


「運動神経いいならまだしも……女子が男子チームに単独で乗り込むとか、ないでしょ」

「なんで。嬉しいけど。だってそれって誰か狙いってことじゃね? 俺そんなんされたら秒で好きになるね!」

「……」

危ない危ない。ふっくんの感覚は当てにならないんだった。当てになるところで実践もしないけど。


でもやっぱり、もうちょっと一緒にいたいなあ……。

なんてね! 欲張りかよ! 授業中だよ!


かーっと自分の思考に赤くなっていると、柊くんがこちらを見た気がして、どきりとした。


か、勘違いかな……小鷹くんと話してるし。


「つーか、試合に混ざりたいんじゃなくて、メグと喋りたいってことだろ? 話し掛けに行きゃあいいべや」

「……なんだかなあ」

「なんだよ」

「それが当然かのように」


疑問符を表情に託すふっくんは、

「当然も何も彼女なんだから堂々としてればよくね?」

咲みたいなことを言う。


「それは、そうかもしれないけど……」


告白されたあとも、ただのクラスメイトだった時さえ出来なかったことを、今すぐやれるわけがない。


話し掛けたい。もっと一緒にいたい。

だけど恥ずかしい。緊張してうまくできそうにない。


私だけ? みんな、彼女になった途端、自信が溢れるものなの?