「ねえひまり。どうしようもないかも」
「……何が?」
「うーん……今後の学校生活?」
「何それ怖い!!」
「だってこれからは、付き合ってないからって遠慮しなくてもいいってことでしょ?」
目を見張った私を窺うように柊くんは首を傾げ、目尻を下げた。
「自慢するから。ひまりが嫌がっても、困っても。俺は、こんなに好きになった子が俺の彼女になってくれたんだ、すげーだろって、自慢する」
何それ……。困る。ものすごく困るけど、ちっとも嫌じゃない。分かって言ってるでしょ、その顔は。
「怒った?」
怒らせたとしたら、笑顔を浮かべるタイミング間違ってるでしょうよ。余裕か。余裕なのか。この主役級人生歩んできた系男子め!
こんなこと慣れてないから言い返せなくて、口をとがらせていると、手を取られた。
ほだされませんよ。そんなことしても。
反撃の一手を考えていれば、こつんと額に重みが加わる。
「帰したくないな」
「そっ……こは、帰ろうよ」
「冗談だよ」
そうですか。そうですね。打ち上げもありますしね。
「そろそろ私たちも、行かないと」
みんな集まっただろうし、小鷹くんも戻ってきてしまう。
「そうだね」
ていうかこんなに近いと、どこを見てればいいのか……。
「じゃあ1回だけ」