「――……」
ふわりと微笑んだ柊くんは膝を折り、私の人差し指を掴むと口元まで引き寄せる。指の腹が柊くんの唇に当たった気がして、細められた瞳も妖しげに輝いて見え、背筋がぞわりとした。
「嬉しいけど、福嗣の真似は、減点」
「――っ、」
やや、やっぱ、指が……っくち、唇に!! ヒイ!
「はな、離してっ!」
なんで今恋人つなぎに変えるの!! 向き合っておかしいでしょ!! ぎゅってしないで手汗かく!!
「……赤くなった」
「なるよ! なんなの急に!」
「ひまりが嬉しいこと言うから? あとちょっと意地悪したくなった」
「心臓に悪いからやめてっ」
くすくす笑う柊くんは本当につかみどころがない。気まぐれっていうか。唐突過ぎるんだよ。
ふっくんの真似は減点、って。何それときめき過ぎて爆散するかもしれない。
幼馴染みたいなものだって知ってるのに、知った上でやきもちやいて隠そうともしなくなって。束縛じみたその柔らかな行動制限が、愛しく感じてしまうだなんて。
「もう無理……」
「無理っていうの禁止」
「……じゃあ、タイム」
「そうきたか」
本当はタイムなんか取らずに、今すぐにでも柊くんの胸に飛びつきたいけれど、繋がられた手を握り返すのが精いっぱいで。
「真っ赤」と、とろけそうな笑みを浮かべる柊くんへのどきどきに、慣れなくちゃって思った。


