「まあまあ! そう落ち込むなって! バスケ部優先つっても1日中拘束されるわけじゃねーべし、クラスの出し物には一緒に参加できんべ?」
ふっくんは柊くんの肩を抱きながら、心なしか弾んだ声で言う。すると、
「でも諦めねーわ」
項垂れていた柊くんが決意したように、濃い眼差しを私に注いだ。
「1時間でも30分でも、空き時間は絶対に作るから」
「……、えっと……」
目を泳がせれば、その間に気恥ずかしそうに首筋を掻いた柊くんがいて。速くなった心拍数が、胸の奥をちりちりと刺すようだった。
「む、無理しなくていいよ?」
「無理でも無茶でもするってのっ」
急に立ち上がった柊くんは、私に背まで向ける。
さわさわと草木を揺らす風は、赤くなった耳を見せてくれた。
「……おいメグ。俺が今、ものすごくいたたまれない気分だってこと、気付いてるか?」
「気付いてるよ。お前邪魔だもん」
「クッソ! 学園祭前だからってどいつもこいつもふわっふわしやがって!! 俺の彼女になりたい人この指とーまれ!」
昼休み中の教室へ駆け込むふっくんに、「半泣きで言うことか」と振り返った柊くん。背後からはもっとひどい返答が飛び交っていたけれど、私は目が合うまで柊くんを見つめ、はにかみながら人差し指を立てた。
「できれば1時間がいいなーと思う人、」
この指、とまれ。


