柊くんは私のことが好きらしい


「本当、ひと言も二言も余計な奴だな。もっと無駄なくしゃべれないのか。恨むなら自分のくじ運の悪さを恨めばいいものを」


なるほど小鷹くんはつまり、咲の態度は八つ当たりだと思っているのか。ここは自分が大人にならねば、くらい思ってそう。


鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた咲は、何度目かの「はあ!?」を小鷹くんへ発射する。


「アンタにだけは言われたくないんですけど!?」

「……俺は自分から立候補したんだが?」

「そっちじゃないわよ!!」


だんっと机を叩いた咲はすぐに、ぐったりと頭を垂れる。

小鷹くんって何気に天然だからね。怒りながらそんな人を相手にするのはエネルギーを遣いそう。


もちろん小鷹くんは解せない風に眉を顰めているけれど、そんな不可解な出来事に時間を割くわけもなく。


「行くぞ。視聴覚室で弁当を食いたくないなら、予鈴5分前に切り上げてもらうようにすればいい」


フォークを取り上げられ弁当箱のふたまで閉められたら、さすがの咲でも観念したらしい。


「絶対、予鈴5分前に切り上げられるようにしなさいよね」

「顔合わせと簡潔なスケジュールの説明だけなら10分あれば充分だろ」

「行ってくるわ~……」


嫌そうな咲に手を振り、ふたりの背中を見送る。


残された私は弁当箱を片付け、お茶を一口飲んでから、ちらりとベランダに目を遣る。


待ってましたと言わんばかりに、ベランダに立つ柊くんが手招きをしてきた。咲の声は大きいし、きっと様子をうかがってると思っていた。


私は念のため辺りを見回し、手招きされたのが自分だと確認してから柊くんの元へ向かった。


クラスの出し物もだけど、学園祭、ふたりでなにをしよう?