「ひまりってさ、聞き流さないじゃん。都合悪いなら適当に誤魔化せばいいのに、逐一反応してくれるから、つい」

「……面白がってるじゃん」

「ははっ! そうかも」


じとりと睨み上げた先で、柊くんは満面の笑みを浮かべていた。


それは感じていた不満なんてどうでもよくなるくらい、青空の下によく映えていて。


「まだ好きでいてくれるなんて思わなかった」


ぽろりと本音をこぼしてしまった私に対して、柊くんは少し目を見張ったあと、笑顔を穏やかなものに変えた。


「俺のこと考えてくれるなら、何回でも告白する」


真っ直ぐ見つめられてまた赤面しそうだったけれど、穏やかなんて表現は間違っていたなと思う。


「諦めないよ、俺」


いつかも見た、緊張も動揺もにじまない微笑みは、私の心をぎゅっと捕らえて離さない。


ニカッと別人みたいに溌溂とした笑顔に変わっても、今の私はずるいなんて思わなかった。


不思議だよね。好きなところを並べられても、本当にそんな私がいるのかなって思うのに、胸の奥はほっこりとあたたかくなって、信じてみたい気持ちになる。


これが僅かでも勇気に、自信へ繋がるのなら。私はいつか自分のことも好きだって、好きになってほしいって、胸を張って言えるようになるのかもしれない。


そうなりたい。今、この一瞬だけでもいいから。