柊くんは私のことが好きらしい


「あの、ふたりとも……金曜日、昼間のことだけど……変な空気にしちゃって、ごめんね」


横居さんたちが来てから私はほとんど俯いたままで、周りのことまで気が回らなかった。


ふっくんは驚くだけ驚いて、小鷹くんはひと言も発してなかったと思うけど、柊くんはあの時から機嫌が良さそうではなかったから。


「か、勘違いならいいんだ。ただ、もし、気まずかったり、居心地悪くしてたら、申し訳なかったなって」

「いや、あれは元はと言えば俺が悪かった」


ストップ、と言うように小鷹くんは手の平を突き出す。


「デートしたのかなんて、こいつの前で尋ねるべきじゃなかった」

「ちょ、俺が悪者ぉ!? 言いたいことはわかるけども! 隠してたメグにだって一因はあるだろっ」

「隠すことになった元凶はお前じゃないのか」

「ちげーし俺だけじゃねーし……! そもそも無駄にモテるメグが悪いんですぅーっ」

「それも馬鹿げてると思うがな」


ふっくんに向いてるはずの小鷹くんの瞳は、べつのものを見ているかのように細められ、私へ戻ってくる。


「自分の恋愛なんだから好きにすればいいのにな。状況ばかり気にして二の足を踏むなんて、時間と労力の無駄だ」

「……、」

「はあ……これだから時短マニアの断捨離野郎は! 小鷹に恋愛の甘酸っぱさがわかるか? いやわからない! 俺が懇切丁寧に教えてやろう! いいか今のメグとひまりの状況はいわば男女のかけひきという、」

「ごめんそういう感じじゃない」

「遮るなよぉおおおおおおお!!」


申し訳ないとは思ってる。