柊くんは私のことが好きらしい


「は~……笑った。疲れた。アイライン滲んでない?」

「大丈夫だよ~」とマイマイにチェックしてもらった咲に言いたいことはまだあるけど、今はただ心強いなって笑えてしまうんだから、私も大概だ。


「よくわかってないんだけど、ひまりん、横居っちとバトル中なん?」


気付けば付き合ってられないと見切られたのか横居さんはいなくなっており、小首をかしげたみっちゃんに苦笑する。


「バトルっていうか、リングにも立たせてもらえそうになかった感じ、かな」

「あ~。横居っち、今日は一段と柊くんにべったりだったもんねえ。好きなのかな?」

「そんなことより、ひまり今日どうすんの? 諦めて帰るの?」


興味ないと言わんばかりに話題変えてきたな……。私は興味あるけど、今考えても仕方ないことではある。


だって、まだ間に合うかもって気持ちを捨てられない。


「……ちょっと、追いかけてみる」

「じゃあ咲は先帰る」

「うん。また明日ね」と鞄を持てば、みっちゃんとマイマイは不思議そうにしながらも手を振ってくれる。


背を向けたあと、「ひまりん今日なんかあんの?」と聞こえたから、あればいいよねと心の中で答えた。


柊くんに話したい、たくさんのことがある。10分の休み時間じゃ足りないくらいのこと。


話したいことだけが頭にあって、切り出し方も考えてなくて。こんなのほとんど勢いだけでやろうとしてるって、わかってるのに。


今日じゃなきゃダメだって、止まらないんだ。