柊くんは私のことが好きらしい



「ガードかっっった!」

「だから言ったじゃん。SPかってくらいだってさー」


理解したつもりが生半可なそれだった。

昼休みのあと2回あった休み時間に、柊くんへ話しかけるタイミングを探ったけれど、横居さんが壁となって視界に入れることも困難だった。


今も教室でべったり張り付いている。


残されたチャンスは帰りのHRが終わったとき。部活へ行ってしまう前に、なんとか……。


「だめだあの人壁を越える自分が想像できない」


ずーっと一緒にいるんだもん。ちらちら私の動向探るような視線まで向けてくるし。


時間があるときにちょっと話したいって伝えたいだけなのに、まさかこんなに苦戦するなんて。


「はー……今日は厳しいかなあ」

「そこはひまりがSP横居を突破できるかにかかってる」


突破したいのは山々なんだけど、圧がね。尋常じゃない気がするんだよ。


まあでも、部活中までくっついていられないだろうし、そこまで横居さんも本気出してこないでしょう。



「高遠ちゃ~ん!」


余裕で本気出してきちゃったなああああ……!


帰りのHRが終わると横居さんが笑顔で話しかけてきた。

そろそろ私が無理にでも割って入ってくると予想したのなら、この方向転換はだいぶ恐ろしい。


「な、なんでしょうか」

「え~? なんでそんな緊張してんの? ウケるーっ」