柊くんは私のことが好きらしい



「復活したと思ったら、またネガティブモード?」


飲み物を買いに行く途中、咲が顔をしかめた。


「いや……ならない。なりません」

「言い聞かせてる時点でアウトだと思いまーす」

どこまでも正論……!


うぬう、と反論できない私は頭を抱えたくてしょうがない。


楽しかったドッチボールの試合のあと、集まってくれたクラスメイトの中に横居さんの姿はもちろん、柊くんもいなかった。


離れた場所でふっくんたちと座っていた柊くんへ、横居さんともうひとりが歩み寄っていくことに気づいていたけれど。


結局みんなが片付けに移っても、MVPとまで言われた私の守備力の高さを柊くんと話題にすることはなかった。


いつもなら、真っ先に輪に入ってきそうなのに。


「私、たぶん、ていうか絶対……避けられてるよね」

「そりゃあね。好きな子にはじめて拒絶されちゃあね。さすがのメグでも気まずいんじゃなーい?」

「……やっぱ、知ってたんだ」

「知ってるっていうか、見たよね」

「見たの!?」

「だって咲が先にひまりを追いかけたじゃん。待ってもらえなかった上にメグに抜かされたけど。つまり置いて帰られた咲の悲しさはジュース1本じゃ癒されない」

「ご、ごめん……喜んでおごらせていただきます」


有言実行。希望のオレンジジュースをおごったものの、癒されない咲は私を中庭に連れて行き、ここ最近あったこと、感じていたこと吐くように迫った。


と言っても、咲は金曜日の昼間にあったことは知っていたようで、だから化学室で2人組の男子に噛みつき、放課後は横居さんたちに毒を吐いたようなんだけれど。