柊くんは私のことが好きらしい


「つーかひまりん、ボールよけのプロかって!」

「ねー。私なんてすぐ当てられたのに」

プロ……。そうなんだ、私、よけるのうまいんだ。


「疲れたー」と咲がうしろから抱きついてくると、「あーっ負けたー!」と対戦していた女子も数人やってくる。


「高遠ちゃん何者!? 攻撃弱いのに守備最強かよ!」

「あっはは! 対戦相手にまで言われてるしっ」


いつの間にか応援してくれていた男子たちも、お疲れと声をかけてきた。


「おつー。見てて楽しかったわー、みっちゃんの剛速球!」

「それな! いやでもMVPは高遠ちゃんじゃね?」

「マジでかすりもしねえ避け方な」


わいわいと人が集まって、私のことやジュースの話題が飛び交う状況は、ただ呆気にとられるばかりで。


なんか……すごいな。

ジャージを着ていてもどことなくおしゃれに見えるような人たちがこんなに集まると、目がチカチカする。


そして私は目立たないようにしてたつもりが、逆に目立ってしまっていたという……。


でも、楽しかったな。


「片付けっかー」

「面白かったねー。高遠ちゃんの意外な一面も見れたし」

「次は男女混合でやろうなーっ」


きらきら輝く人たちが、留まりたいと思うほどの魅力は変わらずない私だけれど。


私のクラスは明るくて、優しくていい人も多くいるみたい。


どうして混ざれないなんて……世界が違うなんて、勝手に線引きしていたんだろう。


関わればこんなにも世界は光を取り込んで、色付く。


――…これが、柊くんのいるところ。


私、少しは、近づけたかな。