「じゃ、うちらが勝ってもジュースってことで!」
えっ!? 気付けばみっちゃんがボールを持って、やる気満々の顔をしていた。
「おお? 張り合われてんぞお前ら~」
「おもしれー! じゃあ俺みっちゃんチームに加勢ー」
ええ!? 固まっていた応援団がやんやと分かれ出し、「燃えてきたーっ」と笑うみっちゃんに、対する横居さんは「負けねーっ」とやる気を見せ始める。
そういえばみっちゃんって、割と誰とでも話してる気がする。
「はいじゃあ始めるよ! 顔面はなしだからねーっ」
ピーッと開始の笛が鳴り、ボールがコートを行き来するたび、歓声が上がった。ギャーとか、ワーとか。行けーとか、逃げろーとか。コートの中でも、外でも。
……いいのかな。
いいのかな、私が。こんな中心に混ざっていて。
「ひまりっ」
「――!」
咲まで、ちょっと真剣な顔。
「高遠さんがボール持った!」
「やったれひまりーん!」
自分に向けられる声援に不慣れで、ボールはあっけなくとられてしまったけれど。
「やべえ高遠さんの守備力半端ねえ!」
「このままじゃ負けるじゃん! 足狙って、足!」
「攻撃はあたしにまかせろー!」
応援も敵味方も入り乱れる試合では、目の前の情報しか頭に入ってこなくて。夢中に、なっていて。
「勝ったー! ジュースーッ!!」
「わー、やったあ!」
笛の音と、みっちゃんやマイマイが駆け寄ってきて初めて、試合に勝ったことを実感した。


