「ね、あたしも名前で呼んでいい?」

「えっ。うん、どうぞ! ……ていうか、知っててくれたんだ」

「知ってるよーっ。ひまりんタイプだもん!」


……おおう。女子とはいえ、照れるな。


「あたしも髪おろしてみよっかなー。でもなあ。セットしなきゃいけないじゃん? あたしギリギリまで寝てたいからさー。毎朝何分かかるもんなの?」

「あ、今日はお姉ちゃんにやってもらったから……結んでるときは5分くらいで終わるけど」

「うわー5分か。1分1秒でも長く寝たいあたしには、無理ゲー……」

「みっちゃんが寝坊して家を出るまでの時間と一緒だもんねえ」


マイマイが衝撃の事実を言うと、咲が吹き出した。


「早っ! それやばいって!」

「あたしの女子力の低さ、ナメんなよ?」


自慢することか、なんて咲が茶化すけど、私も頑張ればできそうだなあ……なんて思ったことは言わないでおこう。


「メグーッ!!」


一際高く歓声が上がり、私たちの会話が止まる。


見るまでもない。校庭では男子の試合が行われていて、やれ防御だ攻撃だと応援する横居さんたちのほうが目立っていた。


「何なに? 白熱中?」

「いつもと変わりないと思うよー」


興味深そうにみっちゃんが首を伸ばすけれど、マイマイの言う通り、試合状況がどうであろうと応援するのが通例だ。