「高遠さん、なんか今日かわいいねーっ」
体育の時間、校庭で同じくドッチボールに興じないクラスメイトが話しかけてきた。目立つ子たちではないけれど、いつも仲良く楽し気に過ごしている二人組だ。
ええっと……確かふんわりボブが舞ちゃんで、ポニテールがみっちゃん、で……今、かわいいって言われた?
「マイマイと話してたんだー。あたしも髪おろしたらイケんじゃない!?って」
「みっちゃんはズボラだから、髪おろしても逆効果な気がするけどねえ」
「だってポニテがいちばん楽なんだもんー」
快活そうなみっちゃんと、穏やかそうなマイマイが近くに腰かける。私は普段、咲とばっかりいるから、輪になるって新鮮だ。
「あー、やっぱ近くで見ると違うわー。高遠さんかわいいね」
「かっ……!?」
「あはは。みっちゃん、高遠さんみたいな子タイプだから。私は森さんみたいな子が好きー」
タイプ!? 好き!? あ、なんか女優さんで誰が好みかみたいな話!?
「……咲でいいよ。咲も、マイマイは同じ匂いがすると思ってた」
「ね~。なんかわかるよねえ。って言っても、確信したのは金曜なんだけどね」
「金曜? ……傘?」
「そう、傘! あれの別バージョン持ってるんだあ」
おお? 女子には結構人見知りな咲が、盛り上がっとる……!


