気分が高揚してる。ヘアメイクをしてもらっただけで、大きな変化はないのに……ふたりに褒められただけで、いつもよりしゃんとしなきゃって気持ちになった。


「いやー。でもほんとすげえ。髪おろすだけで印象変わるのな! 思ってたより長いし、かわいーじゃんっ」

「ほ、ほんと……?」

「マジマジ! こりゃメグも、」


屈託ない笑顔が、一瞬でサッと青ざめる。


「やっべ……」


顔のパーツをきゅっと真ん中に寄せたふっくんの心境は読めない。でも、じとりと背中に汗がにじんだのは、学校に行きづらかった本来の理由がぶり返したからだ。


自分のことでいっぱいで、意識を割く余裕がなかった。


「俺ついに、やられるかも……」

「はあ? 誰が得すんのよ」

「バッカお前……最近のキレッぷりは泣きたくなるほどコエーんだぞ」


ぼんやりとふたりの会話が耳に入りつつも、体温が下がっていくような感覚に、ぎゅうっとお腹の前で手を組んだ。


柊、くん……。


2日ぶりに顔を合わせた彼は戸惑いも見せず、真っ直ぐ私を見ていた。


……やっぱり。

近くに小鷹くんが立っていても、椅子に座って頬杖をついている柊くんだけが、瞳の中で弾ける輝きをまとってる。


ぱっと逸らした顔が、内側から熱くなるよう。


どう思われたかな……。今日の私は。……この前の、私は。