世界が終わる音を聴いた


いつのまにか時間は流れていたらしく、家のチャイムが鳴らされた。
時計を見ると時刻は14時、さすが。
時間ぴったり、間違いなく学くんと菜々美さんだろう。
むくりとベッドから起き上がり、部屋はそのままにして降りていくと、お腹のふっくらとした菜々美さんと柔らかく笑う学くんが並んで座っていた。

「こんにちは」

声をかけるとその笑顔が私に向けられた。
それだけで嬉しくなる私はどうかしてる。
だって隣にはその人の愛情を一身に受けている人がいるんだから。
それと気づかれないのよう、私も作り物の“妹”の顔をする。
学くんとヒナちゃんが付き合っていたあの頃から、私の立ち位置は変わらない。

「菜々美さん、お腹大きくなりましたねぇ」
「そうなの。それによく動くのよー」
「菜々美、先に拝ませてもらおうか?」
「あ、そうだね」
「あらあら。頂き物も仏壇に上げなきゃね。菜々美さん、お腹大きくて辛かったら、そこの小さい椅子、使ってね」
「ありがとうございます」

世話焼きの母は、ふたりを構って後ろをついていく。
私はそのまま、お盆にグラスを並べて作りおきの麦茶を注いだ。
確か、麦茶はノンカフェインだから妊婦さんでも大丈夫なはず。
お茶菓子は何があったかな?
お茶を冷蔵庫に戻してくるりと台所を見回すと、分かりやすく器に入ったお菓子が用意してあった。
さすが、抜け目がない。