世界が終わる音を聴いた


靴を脱いで座敷に上がると、テーブルはひとつで半個室のような形になっている。
そのテーブルの上には、4人分のセットがされている。
私たちは何も言わず、それぞれの定位置についた。
家で食事をするときも、外食をするときも同じ位置に座る。
上座が両親、下座が私。
1つぽっかり空いてしまった場所は、ヒナちゃんの席。
それはいつしか暗黙の了解のようになっていた。

「お待たせしました~!」

アルバイトの子だろうか?
元気よく、できた料理を持ってきてくれる。
大皿に乗ったサラダや和牛のカルパッチョ、アクアパッツァと、ピッツァ。
手際よく私たちの前に料理を並べていくと、気を利かせてくれたのだろう、空いている席のセットを下げようとしていた。

「ごめんなさい、セット、そのままにしてくれますか?取り皿も4枚でお願いします」
「はぁ……。いえ、はい」

店員さんは困惑した返事だったけれど、きっと応用のきく子なのだろう、何も言わずにそのままにしていてくれた。

ここは、家屋が和風な作りながら創作のイタリアン料理を提供してくれるお店だ。
大将と女将さん、数人のアルバイトさんでお店を回しているのだけれど、お料理のボリュームに美味しさ、そのお値打ちさも相まって平日も休日も大人気だった。