まるで花守さんと出会った頃みたいだ。
くす、と笑いが零れて、彼との出会いを思い出す。
4年前の春先に、友人との食事を終えて帰る途中に、ふと聴こえてきた歌声に足を止めたのだ。
凛としていて、優しいその歌声が、私の耳に……いや、心に届いたのだ。
高校生、短大生、長い間見てきた夢があった。
オーディションを受ける傍ら、もっと歌う場所をと求めた結果行き着いたのはストリートミュージシャン、という選択。
学校に内緒で、バイト帰りや学校帰りにギターを片手にストリートに繰り出す。
それは、あの頃の自分にとって、何よりも楽しい時間だった。
けれど、学生時代を過ぎた私は応募しては落選するオーディションにとうとう夢を投げ出した。
あれだけ楽しかったストリートにも行かず、歌を歌うことと言えば、たまに誘われていくカラオケくらいなものだった。
人はいつだって流れていくからいなくなるストリートミュージシャンも多かった。
そこに誰も何も言えない場所、でもあった。
もちろん、同じストリートに何度も出れば、自然と繋がりなんかはできては行くけれど、あくまでも他人、よく言ってライバル。
辞めることにも繋ぎ止めることにも、みんな一定の同じ気持ちを知っている以上、誰も何も言えなかった。
それを決めるのは、本人しかいないのだ。
私も何人も見送った。
そして、同じように……私も、そこから去ったのだ。
寂しくなるな、という言葉だけを貰って。
それからはもう、全くストリートに出ていないし、ストリートミュージシャンにも立ち止まらずに、というよりは、就職したのが自宅から自転車で行ける場所であったこともあり、そこまで行く機会が激減したのだ。
だから、4年前に花守さんとストリートで出会ったのは、本当に偶然で、きっと神様が二人を出会わせたんだと感じた。



