やるせない気持ちを持って、自転車を漕ぐ。
間もなく、街が赤く染まっていく。
何かに誘われるように、私は、駅へと向かった。
地元の駅は、少しくたびれているような小さな駅。
駐輪場に自転車を停めて、4駅先の切符を買う。
滅多に電車なんて乗らないから交通ICなんて持ってない。
目的地はこの地方都市の中心地。
定刻通りに電車はやって来て、人の多い電車に乗り込む。
多少の混雑はあるものの、帰宅ラッシュの時間よりは少しずれているようだ。
入り口付近の窓に寄り添い、暮れていく街を眺めた。
景色は、流れる。
私の心も一緒にどこかに連れていってくれたら良いのに。
しおらしく、バカみたいなことを考えた。
電車に揺られながら、母に、少し遅くなる旨をメールで連絡すると、気を付けなさいね、と一言返信があった。
約15分電車に揺られて駅に降り立てば、さすがに人で溢れていた。
仕事帰り、学校帰り、遊びにいく人、まだまだ仕事の人……
いろんな人がいて、誰も私のことなどみていない。
私の中に渦巻く言い表せない、不安や、孤独や恋情・慕情の入り乱れた冠状の全て、この人混みに紛れて溶けてなくなればいいのに。
そうは思ってもやっぱり無くなるわけもなくて、でも、これだけの人がいるのならば、煩わしいこんな感情に振り回されているのも私だけではなく思えて、何となく落ち着く。
一歩、歩き出すと、気持ちも少し動いたみたいで、また一歩、一歩と人の波を歩く。
建物を抜けると、ロータリーのタクシーに並ぶ人、別の線に乗り換えるために歩く人、夜の襠へと赴く人、やはりそれぞれで、私もその人の流れに逆らうことなく歩く。
行く宛があるわけではない。
ただ漠然と、歩く。



