案の定、会社についたら額にほんのり汗が……、なんてレベルじゃないほど汗をかいていた。
扉を開けたときの冷気が心地良いことたるや。
しかしこうも暑くて汗が噴き出してくると、朝イチだというのに、着替えとかシャワーとかほしくなる。
汗だくの服で仕事すると今度はそれが冷房で冷やされて寒くなってしまうこともあるし。
……とはいえ、制服着用ではないところは救いなのかもしれないけれど。
汗だくの状態で制服に着替えて、帰宅する頃には乾いてるか分からない、いや、乾いてたとしても汗が蒸発した服にまた着替えて……って、想像しただけで嫌だ。
こればっかりは自転車通勤の運命、仕方がないと諦める他ない。
無い物ねだりはこの世の常だ。
とりあえずは荷物と帽子をロッカーに預け、髪を纏めた。
朝したはずの薄い化粧も、この汗で完全に流れ落ちている気がしないでもないけど、それには気づかないふりをして、自分の席に向かった。
涼しい部屋にいるはずなのに未だ滴り落ちてくる汗に不快感を覚えながら、パソコンを立ち上げて準備を始める。
時刻は7:50、みんなギリギリに出社してくるので、今ここには私以外に3人しかいない。
額に滲む汗をハンドタオルで押さえてしばらくボーッとすることにした。



