最初のデートとも言える彼女のおすすめの店へ行って以来、
月末に近かったせいもあるが、徐々に忙しくなっていき、
毎日のおはようとお休みのLINEだけで終わることが多くなってきた。
有給も二人とも同じ日に取れ、歓迎会が終わって落ちついたら行こうと約束はしたものの、
そこから話は進んでいない。

あっという間に毎日が終わり、歓迎会も無事に終わったが、中々二人で会う機会がなく、流石に毎日会社で顔は会わせているけど、最近ゆっくり話もできていないので、久しぶりに食事でもいかないかと何度か誘ったが、調子が悪いとしか返事も来ず、少し苛立ってきていた。

我慢が出来ずに、ちょうど廊下を歩いていた彼女の腕をつかむ。

「いたっ...」

周りのことは気にも止めずに、壁に彼女を押しやる。

「俺のこと嫌いになったの?」

数人が振り返るが構わない。

「そんなことはないし、会社だから...
それに声大きい...」

「そんなことはいいんだよ!」

構わずに腕を再度押さえるとまた痛いと言われる。
そんなに強くは握っていないはずなのに。