ユカ。 彼女はまわりのみんなにそう呼ばれていた。 いわゆる姉御気質というか、リーダー気質というか、端的に言えば、僕が一番苦手な長女タイプだった。 そういうタイプの人間は、やたらと人の世話を焼いて、あーしろこーしろとうるさい。 おまけに上からものを言うその言い草が、三人兄弟の真中に生まれた僕には、どうしても耐えられないのだ。 (こいつもどうせそんなタイプなんだろうな……チッ面倒くさい……) 「ああ、りょうたを待ってんだ……佐伯は?」 「フフ……私はトモコを待ってんの……」