「……和賀さんって、コンタクトにしないの?」
「しませんけど」
昔したこともあったけど、すぐ頭痛くなるからやめたんですよ。
「でも眼鏡ない方が可愛いじゃん」
見た目が可愛くなっても性格が悪いからどうにもならないと思う。
「そんなに変わらないですよ。ほら」
眼鏡を取って見せてみる。
酔っぱらってる田中さんは、浮かれた調子で「やー、こっちのが可愛いって」と持ち上げてくる。
調子いいなぁ。今日は機嫌がいい方の絡み酒なんだな?
「眼鏡でも可愛いよ」
そんな声に息が止まる。
眼鏡をかけ直して声の方を見ると、若干目の座った永屋さんがこっちを見ていた。
「俺ら、一緒の電車だから行くわ」
そして、私の首根っこを捕まえて動き出す。
ちょ、苦しいって。猫じゃないんだからその持ち方やめて。
あっけにとられたように、美波ちゃんや山海さん、田中さんがこっちを見てる。
た、助けて。
なんか妙に永屋さんが強引……。
「もしかして、酔ってます?」
改札をくぐってホームまで来てから聞いてみたら、永屋さんが目の周りを赤くして私を見ている。
「……結構飲んだし」
「今日は知りませんよ。介抱しませんからね! 自分で帰って」
「和賀さん冷たい」
「温かくなる理由無いでしょう」
永屋さんって本当にお酒弱いんだ。
だったらもうちょっと控えればいいじゃん。



