そんな風に、いい感じに酔ってきた頃、店員さんの元気のよい声が響く。
「いらっしゃいませー」
そして同時に、「あれ?」という聞き覚えのある声も。
私は入り口とは逆向きになる方向で座っているので分からないけど、対面の美波ちゃんはハッした顔をした。
「和賀さん。それに岩田さんも」
この声は最近よく聞いてますよ。
と、案の定、美波ちゃんが予想した名前を告げる。
「あー永屋さぁん、山海さん。……あ、田中さんも」
田中さんのところであからさまにテンション下がったよ、美波ちゃん。
振り向いて見ると確かに営業三人組が揃っている。
仲いいんですね。集まって飲んだりするんだ。
「なに? ふたり? 一緒してもいい?」
山海さんが嬉しそうに身を乗り出してくる。
恋する男は一生懸命。それは……いいんだけど、田中さんが邪魔だよ。
「すいません、このふたりのも奥に移してもらえます?」
私たちの返事を聞く前に、田中さんが店員さんにそんな注文をしてしまう。
私と美波ちゃんは顔を見合わせて微妙な顔をしたけれど、ここまで話が進んでしまっては仕方ない。
諦めて席を立ち、奥の小上がり席へと移った。



