コミュ障なんです!


「きっかけも分からないの。ただ、私が仲良かった子が、いつの間にかクラスの中心的な子から意地悪をされるようになって、みんなその子から離れていった。でも私、友達だったしって一緒にいたら、今度は私もハブられてた。
ものすごいいじめってわけじゃないの。ただ、無視される、とか。ペアを組む時にみんなから目をそらされるとか。……でも、私それがショックで。それ以来ね、人に嫌われるの怖いんだ。自分と違う考えだなって思っても黙ってうなずいちゃう。波風立てないのが一番って思って」

「うん」


でもそれは、別に悪いことでもないだろう。
誰だって、一人でいるのは寂しいし。
人と関わるってことは自分の感情はある程度抑えていくものなんだろうし。

抑えられない私みたいなのが、一人になるわけでね。


「彼氏とか、友達とか、一緒にいる人の考えを優先していたら、自分の考えみたいなの、分からなくなるんだよね。でもさ、友達とかも、学校が変わったらもう連絡も取り合わないことのほうが多くて。残ったのは何にもない私。でも、他にどうしたらいいのか分からなくて、ずっと人に合わせて生きてきたの。香澄ちゃんのことをみんなが悪く言ってるのも黙って聞いてた」


ごめんね、と小声を挟む。
私は首を振って「全然」と言った。
だって私、美波ちゃんに傷つけられたことなんて一度だってないもん。


「でも、香澄ちゃんがこの間、トイレから出てきて皆に言った時、格好いいなって思ったんだ。ひとりでも凛としてて、すごい。私もあんなふうになりたいって。だから、……仲良くなれて嬉しいんだ。今すごく気分いい。やっと自分らしくなれたような気がする」

「そんな……凄くなんてないんですけど」


私はひとりが平気なわけじゃなくて、ひとりよりもふたり以上でいるのが怖いだけ。
誰かと一緒にいて、不快にさせるのが怖い。


「だから、あのふたりと気まずくなってもいいんだ。嫌だなって思いながら人の悪口言うより、ずっといいもん」


グイッとビールをあおる美波ちゃん。
つられて私も杯をあけるけど、なんか、勢いで飲みすぎちゃいそうだな。