連れてこられたお店は、会社と駅の中間くらいにあった。
通勤路として通っている道沿いで、私はてっきりイタリア料理か何かの店かと思っていた。
だって看板、横文字だったし。
でもよく見たら【U TA GE】って書いてあるや。宴の意味なら和食かぁ。
「美容にいいの食べようねー」
美波ちゃんのおすすめのコラーゲン鍋を注文し、彼女はビール、私は酎ハイを頼んだ。
本当はお茶がよかったんだけど、彼女がお酒を頼んだところを見れば、素面で話したいことじゃないんだろうし。
だとしたら相手も少しは酔っていた方が話しやすいんじゃないかと思えたから。
最初は普通の世間話をしていた美波ちゃんは、注文した鍋が来て、それぞれ一杯目を食べ終わったところで、ぽつりと話し出した。
「……あー、楽しい。やっぱり好きな人といるのって楽しいよね」
「えっ?」
「あ、変な意味じゃなくてね。私、友達として香澄ちゃんのこと好きだから」
「ああ」
それは嬉しいけれど、どうして私なんだろう。
勘違いから始まったにしたって、一緒にいても美波ちゃんばかりに話させて、私なんて面白い話の一つもできないのに。
「私昔ね、……中学の時なんだけど、いじめられたことがあるんだ」
「え?」
意外。私みたいなひとりでいたがる人間がいじめられるなら分かるけど、こんな朗らかな美波ちゃんが?



