コミュ障なんです!


「ほら、こっちこっち。ちゃんと仕事しなきゃ」


あまりにも笑顔で、それ以上聞いていいのか分からなくて、私は美波ちゃんに促されるまま会議スペースの椅子に座る。


「えっと」


仕事の話をすればいい?
でも、気になる。美波ちゃんの吹っ切れたような笑顔の意味が私には分からない。

黙ってしまった私に美波ちゃんは笑顔を見せた。


「……今日暇? ご飯食べに行かない?」

「う、うん」

「話、聞いてくれたら嬉しいんだけど」


同僚と食事なんてめんどくさいって、今までの私なら思っていた。

だけど今は素直に頷いていた。
美波ちゃんのことを知りたいって思えたから。






引き継ぎが終わったときには、定時を過ぎていた。
メールチェックや退勤処理などを済ませて、ふたり揃って外に出る。


「結構落ち着いた鍋のお店があるの。座席の仕切りが高いから、秘密の話したいときとかいいんだよー」

「へぇ。鍋ですか」

「うん。近くだよ? 行ったことない?」

「外食はほとんどしないから」

「香澄ちゃんってもしかして料理上手? 毎日自炊してるの? すごーい」

「すごく……はないけど。適当なものばっかりだし」


なんか。こんなふうに素直に褒められることもあんまりなんだよなぁ。
あ、でも、永屋さんも褒めてくれたっけ。朝食おいしいって言ってくれて、あれはひそかに嬉しかったな。