「さて、無駄話はここまでよ。和賀さんも座って。まずは契約成立おめでとう」
「は……はい」
はあ、と言いそうになって言い直す。
永屋さんが奥の椅子に移って、近い場所を空けてくれたので、ならばこっちに座るべきなのかと椅子の隅っこに収まる。
「ここから先の流れを教えるわね。ここからはあなたが中心になって、お客様と構築するシステムの内容を詰めてくるの。逐一永屋くんと連絡とって、最初の提案から逸脱していないかもチェックしてもらって。機能が増えればそれだけ金額も増すから、ちゃんとお客様と意思を疎通させていかないと駄目。金銭面の話をするときは、出来るだけ営業に入ってもらいなさい」
「はい」
「行けるときは一緒に行くよ。こまめに連絡くれる?」
永屋さんもその辺はフットワークが軽そうで助かるな。
「で、客先と内容が纏まったら、仕様設計書を作ります。この時点で、システム開発部で一度会議をしましょう。その機能を作るのに必要な人員を割り出すから。その人たちが決まったらプログラミング開始。あなたは今回、自分ではプログラミングしないで、全体を把握することに集中なさい」
「え……」
あ、そうか。そうなっちゃうのか。
私、プログラミング好きなんだけどな。



