コミュ障なんです!



それから数日後、室内で仕事しているのが馬鹿らしくなるような晴天のある日、永屋さんからのメールが届いた。

【トレンドハウス、契約取れました! これからよろしくお願いします】

先日の案件だ。
同時に同じメールを受け取った三浦さんが、私を手招きする。


「一応流れを教えてあげるからいらっしゃい」

「はい」


三浦さんが凄いなって思うのは、この気遣いだよなぁ。
自分も担当案件をいっぱい抱えているのに、部下へのフォローも抜かりないんだもん。
私は上司には恵まれているんだろう。

ペンと今まで使った資料を持って三浦さんのもとに向かう。
彼女は内線電話で永屋さんを呼んでいるところだった。


「先に会議スペース行ってて」

「はい」


書類を置き、椅子に座って三浦さんを眺める。電話を切ったら今度は書類を持った同僚に捕まった。
迷いなく答える三浦さんに、迷いまくって首をかしげる質問者。

忙しそうだなぁ……。
皆が揃うまでに時間もありそうだし、給湯室でコーヒーでも入れてこようか。

【コーヒー入れてきます】とメモを残して、一度その場を去る。

給湯室でお湯を沸かし、インスタントのコーヒーを紙コップに三杯入れて戻ってくると、三浦さんと永屋さんが会議スペースで話し合っていた。