「なんで笑うんですか」
私のパジャマ姿、そんなに変か?
「くっくっ、いやごめん。自分が立ってる状況がおかしすぎて。酔って女の子連れ込むならまだしも、俺が連れ込まれるとか」
体を曲げるようにして笑う。
そんなに笑われると、人助けをしたはずなのに馬鹿にされているような気がしてくる。
「変な言い方しないでくださいよ。捨ててこればよかった!」
「いやごめん。ホント、ありがとう。介抱してくれたんだろ?」
「……寝ちゃって、道路に捨てておけないから連れてきただけです」
私がすねていると、彼は苦笑して土下座した。
「ごめん、この通り」
「土下座までしなくても」
「や、面倒な席に連れて行った挙句、寝こけて泊まり込むとかごめん」
「別にいいですよ。それより出勤には大丈夫ですか」
昨日、朝から外回りって言ってた気がするんだけど。
「あ、そうだ。家帰ってシャワー浴びて着替えて……何とかなるか」
そうですね。まだ五時前ですもの。早すぎですよ。
私は二度寝したいところです。
「タクシー呼んでいい? 住所は?」
「ええと」
私が住所を告げると、スマホで現在地を表示する。
「ああ。結構近いんだ」
俺んちここ、と見せられたのは確かに同じ沿線上の駅の近くだった。
しかもうちより会社に近いじゃないの。なんか損した気分だ。



