「うわああああっ」


男の野太い雄たけびで目覚める朝。
……ん? なんで男の声?

と思って起き上がって、離れた場所で毛布にくるまれたままの永屋さんを発見した。
あ、そうだ。昨日は酔っぱらって寝こけたこの人を連れてきたんだっけ。

彼は自分の服が昨日のままなことを確認した後、辺りを見回して、ベッドにいる私を発見する。


「わ、和賀さん?」

「おはようございます」


慌てまくって目を右往左往させている永屋さん。
いや、落ち着いてください。私は悪いことしてませんよ。


「ここどこ? 俺」

「覚えていませんか。酔っぱらって寝てしまったんですよ。永屋さん」

「マジで」

「家分からなかったので連れてきただけで、何もしてません。そんなおびえないでください。服も昨日のままでしょう?」


私が襲ったみたいになってるじゃないの。失礼な。

永屋さんはもう一度辺りをきょろきょろしながら、私をまじまじと見た。


「和賀さんはパジャマ……」

「あっ、見ないでくださいよ。私が自分の部屋でどんな格好で寝てもいいじゃないですか」

「いや、ごめん。そういう意味じゃなくて。俺、悪いことしてないよね」

「してたらそんな遠くには寝てないんじゃないですか」


パジャマ姿を見られるのは恥ずかしいので、布団で体を隠しながら返事をすると、ホッとした様子の永屋さんが今度はいきなり笑い出した。