水族館なんて久しぶりに行くなぁ。子供の時みたい……なんて思っていたのだけれど。
実際、久しぶりにくる水族館は、見ごたえがあり、プロジェクトマッピングなんかを交えた水槽もあってなんだか楽しい。
何より、見てるものを繰り返しているだけで会話になるとか、すっごい楽。
コミュ障にはありがたいデートスポットなんだな。
最後にお土産にイルカのストラップを買ってくれた洋斗さんは、途中のレストランで食事をした後、車を私のアパートの前に止める。
なんだ。家に帰されちゃうのか……なんて図々しいことを思いつつ。
居座るのも変なので「今日はありがとうございました」と頭を下げる。
「うん」
「じゃあ」
自分で助手席のドアを開けて外に出ると、彼が焦ったように運転席から出てくる。
「忘れてる。花」
「あ。ありがとうございます」
「荷物、上まで運ぶよ」
大した荷物があるわけじゃない。もらったお花のアレンジメントと、メガネのケースや付属品たちともともと持っていたカバンくらい。
でも私も名残惜しくて、ついつい部屋の前まで来てもらってしまった。
どうする、私。
こんなにいっぱいしてもらって、今度は私が勇気を出す番なんじゃない?
「あの、……泊まっていきませんか」
最後は消え入りそうな声だった。
恥ずかしいよ、こんな、自分から襲ってくださいみたいなこというの。
真っ赤になってうつむいていたら、いきなりぎゅーって抱きしめられた。
「ひゃあっ」
「もうやべーって可愛いって!」
「洋斗さん、離してくださいっ」
共有スペースだっつの。隣からいきなり人出てきたらどうする気だよ。



