「今日中に仕上がるかな」
洋斗さんが、頬杖を突きながらにっこりとほほ笑む……と、女性の店員さんはさっと顔を赤くして、「も、もちろんですっ」と請け負った。
ああ、営業スマイル。便利だな、こういうときにも使えるんだ。
結局、洋斗さんがカードでお支払いして、できるまでの二時間をつぶすこととなる。
「おいで、香澄。次はブローチピン」
「え? でも眼鏡も買ってもらうのに、そんなに買ってもらうわけにいきません」
「だって、サプライズし損ねたしさ。それに俺、夢だったんだよね。好きな子を、自分好みの格好で着飾らせるの」
にっこりウィンクされたけど。
いやうれしいけどさ。……それって、子供のお人形遊びに近くないか?
「もしかして、年の離れた妹さんとは、昔お人形遊びとかしませんでしたか?」
「なに、急に。一緒に遊んでやったことはあるよ。長い休みとかはどうしたってアテにされるからなぁ」
良くも悪くも、姉妹との関係が彼の性格形成には影響しているんだな。
しかもそれを自覚してなさそうだ。
あんなに、人の思考とか読み取るのには長けているのに、自分のことはわからないとかちょっと笑える。
「ふふっ」
「何笑ってんの?」
「だって、なんか可愛いですもん」
「誰が? 俺が?」
「はい」
「いや待って、それは嬉しくないけど?」
拗ねた彼に捕まえられそうになるところをすんでで逃げる。
すぐにつかまっちゃって、ずるずる引っ張ってこられたのは雑貨屋さん。
「赤が似合うと思うんだ」
彼が選んでくれるのは、ザクロの果実のような紅色を帯びた赤。
白のスカーフに、ちょんと止めると、白、カーキ、キャメルと地味な色合いだった私の服が、急に華やいだ。



