*
「わ、車だ」
準備を終えてふたりで部屋を出ると、アパートの前には空色のコンパクトカーが止まっていた。
「どうしたんですか」
「ん? レンタカー。香澄は街中歩くの好きじゃなさそうだし。車で遠出しようよ」
映画で見る執事さんみたいに助手席の扉を開けてくれて、手招きされた。
うわ、なんか感動するな。こんな扱い受けるの初めてだ。
いざ乗り込もうと助手席を見ると、持ち手付きの籠に入れられた、お花のアレンジメントが置いてあった。
たっぷりのカスミ草にピンク系のお花が可愛くまとめられている。
「……かわいい」
歓声を上げるより前に心の声が飛び出した。
お花をもらうなんて初めてだし、カスミ草は地味な花ではあるけど自分の名前と同じだから好きなんだ。まさかそれを考えてくれたわけじゃないだろうけど、とにかくうれしい。
「誕生日おめでとう、香澄」
うれしいんだけど、人生初めての彼氏に、人生で一度も受けたことのない扱いを受けて、私の内心は今、大嵐である。どういう顔をしたらいいのか、どういう風に喜ぶのが正解なのかわからない。
ただなんか、胸がいっぱいになってじんわり涙が浮かんできた。
「あれ? 花は嫌い?」
「いえ、まさか。……ただ、感動しすぎて言葉にできません」
言ったら泣けてきちゃったよ。
洋斗さんは「なんだよー」って軽く言いながら私の背中をポンポンとたたいた。
「わ、車だ」
準備を終えてふたりで部屋を出ると、アパートの前には空色のコンパクトカーが止まっていた。
「どうしたんですか」
「ん? レンタカー。香澄は街中歩くの好きじゃなさそうだし。車で遠出しようよ」
映画で見る執事さんみたいに助手席の扉を開けてくれて、手招きされた。
うわ、なんか感動するな。こんな扱い受けるの初めてだ。
いざ乗り込もうと助手席を見ると、持ち手付きの籠に入れられた、お花のアレンジメントが置いてあった。
たっぷりのカスミ草にピンク系のお花が可愛くまとめられている。
「……かわいい」
歓声を上げるより前に心の声が飛び出した。
お花をもらうなんて初めてだし、カスミ草は地味な花ではあるけど自分の名前と同じだから好きなんだ。まさかそれを考えてくれたわけじゃないだろうけど、とにかくうれしい。
「誕生日おめでとう、香澄」
うれしいんだけど、人生初めての彼氏に、人生で一度も受けたことのない扱いを受けて、私の内心は今、大嵐である。どういう顔をしたらいいのか、どういう風に喜ぶのが正解なのかわからない。
ただなんか、胸がいっぱいになってじんわり涙が浮かんできた。
「あれ? 花は嫌い?」
「いえ、まさか。……ただ、感動しすぎて言葉にできません」
言ったら泣けてきちゃったよ。
洋斗さんは「なんだよー」って軽く言いながら私の背中をポンポンとたたいた。



