コミュ障なんです!



昼過ぎに、私のアパートまでやってきた洋斗さんは、深緑のテーラードジャケットに紺色のカットソー、ベージュのスキニーパンツといういでたちで登場した。


「お、おお。……格好いいですね」


さすがだよイケメン。
スーツの時も格好良かったけど、私服はまた雰囲気違くて、私はこっちのほうが好きかも。


「香澄も……」


と言いかけて、彼の声が途切れる。
だよね、今私、ジーンズにТシャツといういで立ち。わかってる、私だっておしゃれしようと思ってる!
でも服が決まらないんだもん。


「まだ、服を決めかねているんです。ちょっと待っててください」


なにせ私のワードローブといったら地味色が多いんですよ。どれを着ても、かわいいかぁ?って感じになる。


「うーん。ちょっと見せて」


すたすたと入ってきた洋斗さんは、広がっている服を見て、自分なりに考えをまとめたのか、「これとこれ合わせてみて」と私に渡して、ほかの服をたたみだした。

うわーこれって彼氏にやらせることじゃなくない?


「あ、あの」

「いいから早く」


待たせているのも申し訳ないので、言われたとおりに着替えをする。
キャメルカラーのワンピースにフリンジのついたカーキー色のトップス。全体に地味なのは変わらないけど、組み合わせとしては悪くない。

見せると、うん、と納得して、いつの間に見つけ出したのか、ホワイトのストールを取り出し、私の首に巻き付ける。